吹奏楽の2つの魅力~オーケストラとの比較~

吹奏楽に携わることが多い中、

「吹奏楽の魅力って何だろう?」

とふと思いました。

クラリネット

インターネットで「吹奏楽 魅力」と検索しても
出てくる記事のほとんどが「吹奏楽『部』の魅力」についての記事ですが、

ここでは、純粋な音楽としての「吹奏楽」の魅力について考えてみたいと思います。

職業柄聴くことも多いいわゆるクラシックと呼ばれるジャンル(ここでは特にオーケストラ)
と比べて吹奏楽にしかない魅力とは何なんでしょうか。

1. 編成

オーケストラ:弦楽器 + 管楽器 + 打楽器

吹奏楽:管楽器+打楽器

吹奏楽とオーケストラとの編成上の最も大きな違いは、
やはり「弦楽器がない」ということですね。

violin

弦楽器があることによるオーケストラの強みは

 ・ 息を必要としないため長いフレーズを演奏できる
 ・ 弱奏での繊細な表現がより可能になる

などがあり、歴代のクラシック作曲家も「交響曲」という形で多くの作品を残しました。

その一方で、弦楽器がない吹奏楽の一番の強みは

 ・ 管楽器という共通の発音原理を持った楽器であり、音色が統一される

ということだと思います。
オーケストラの弦楽器+管楽器の響きとはまた違う、

純粋な

「管楽器ONLYの響き」

が吹奏楽の魅力のひとつです。

また、同属楽器だけの編成ということは、
音色だけでなく、それを演奏する人間側の価値にも少なからず現れます。

その差は、非常に雑なたとえですが、

同じ球技でもサッカー選手と野球選手ではその価値観が違う

のと同じくらい違うかもしれません。

2. 起源

オーケストラ:教会音楽 ・ オペラ

吹奏楽:軍楽隊

オーケストラは古代ギリシア(紀元前2600年)にその名前の起源を持ち、
教会音楽やオペラといったクラシックの王道を起源とするのに対し、

吹奏楽は、古代エジプト(紀元前3000年)に原型を持ち、
軍楽隊の音楽としてその歴史をスタートさせました。

そして吹奏楽の構成楽器である管楽器の主な役割は

「遠くの見方に合図を出す」

「(兵士の)士気を高める」

ということでした。

kousin

今でも夏の選抜野球に吹奏楽部が応援に行きますし、
プロ野球にもトランペット(や太鼓)は応援に欠かせないアイテムですよね。

3. 得意とする音楽

オーケストラ : 交響曲 ・ オペラ

吹奏楽:行進曲

オーケストラは、
モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスなどの交響曲から
モーツァルト、プッチーニ、ワーグナーなどのオペラまで
クラシックを語る上で欠かせない作曲家たちが作品を残しています。

その一方吹奏楽も、
メンデルスゾーンやワーグナーなど、ロマン派後期の作曲家は作品を残していますが、
今現在演奏される多くはホルストやヴォーン・ウィリアムスなど20世紀以降の作曲家がその中心です。

そして、オーケストラとの大きな差のひとつが
アメリカのスーザに代表される行進曲のジャンルでしょう。

4. 得意とする音量

オーケストラ:弦楽器1本による p(弱奏)

吹奏楽:管楽器トゥッティによる f(強奏)

オーケストラは弦楽器一本による繊細pの表現を得意とするのに対し
吹奏楽は通称「オルガンサウンド」ともいわれる
同属楽器のトゥッティによるfにその魅力を感じることができると思います。

organ

まとめ

ここまで比較して今回わかった吹奏楽の魅力は、

 
 1. 管楽器ONLYのオルガンサウンド&トゥッティによるf(強奏)

 2. 人を元気づける音楽

ということです。

特に2つ目の「人を元気づける」という魅力は生の演奏会に行くと感じることができ、

私自身、吹奏楽のコンサートの後はいつも不思議と前向きな気持ちになります。

あまり言われることはありませんが、
吹奏楽という音楽が持つそのポジティブな魅力は

吹奏楽が多くの人に愛されていることと決して無関係ではないと思います。

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