冬といえば、吹奏楽部にとってはアンサンブルが盛んになるシーズン。
一年を通してもアンサンブルをする機会はそう多くないかもしれませんが、せっかくのアンサンブル。しっかりと取り組めば確実に多くのスキルが身に付きます。
そして何より、ちゃんとできると合奏よりも楽しいのがアンサンブルなんです。
今回はそんなアンサンブルを進めていくうえで悩みの多い、練習方法や進め方についてまとめてみました。
悩んでいるみなさんの少しでも参考になれば幸いです。
基礎練習編
1.サウンドづくり
アンサンブルなので、きっと曲を選んでそれをみんなで練習していることと思います。
最近では、サックス4重奏やクラリネットアンサンブル、金管8重奏といった同属楽器のアンサンブル以外にも、金管・木管・打楽器混在のフレキシブル編成で取り組んでいるグループも多いのではないでしょうか。
そんな中で特に大切になるのが団体のサウンドです。
各学校に音色の変化があるように、アンサンブル団体にもそれぞれの音色があります。それを磨くことは曲の練習と同じか、むしろそれよりも大切です。
そのためには…
2.基礎練習を一緒にやる
そこで効果的なのが、アンサンブル団体ごとで基礎練習を一緒に行うということです。
個人の音出しや基礎練習が終わったあとや、曲の練習に入る前など、タイミングはいつでも構いませんが、一緒に基礎練習することで団体のサウンドというものが、次第につくられていきます。
具体的な基礎練習の内容としては、
方法
・ロングトーン(Bdur、曲に出てくる調、半音階など)
・ダイナミクス(クレッシェンド、デクレッシェンド、ppからffまで)
・スケール(音階)
・アーティキュレーション(スラー、テヌート、アクセント、スタッカート)
目的
・団体のサウンドづくり
・イントネーション(発音や音形)をそろえる
曲練習編
1.テンポ感の共有
「テンポ感の共有」と一言で言っても、慣れていないアンサンブルでは意外と難しい課題です。特に学年やパートが異なる場合、まずはそれぞれのテンポ感を共有できるようになることが大切になります。
単純にメトロノームに合わせていくことも大切ですが、そのテンポをメンバー全員で生み出している一体感まで共有するイメージを持ちながら取り組んでみてください。
方法
・メトロノームを使った部分練習
・楽器を置いて手拍子や足踏みで歌いながら練習する
目的
・テンポ感の共有
2.各パートのバランス調整
テンポが安定してきたら、次は、各パートのバランス調整に気を配ってみましょう。メロディーはだれか、伴奏とのバランスはどのくらいが良いか。などをスコアなどで確認しながら共有していきましょう。
特にメロディーのパートが細かく移り変わるような曲や、木管楽器がメロディーで金管楽器が伴奏をしているような部分では、非常に大切な練習になります。
方法
・全員でスコアの読み込み
・音量バランスの調整
・ゆっくりなテンポでの各パートのかみ合わせの確認
目的
・聴かせたい部分を明確にする
・すっきりとした演奏にする
3.ハーモニー練習
バランスが整ってすっきりした演奏になってきたら、次は、ハーモニーを合わせてみましょう。普段は顧問の先生が指示を出してくれることが多いかもしれませんが、生徒だけでも十分ハーモニーを合わせることはできます。
それが何のハーモニー(和音)なのかがわかるようになれば理想ですが、そういう知識がない場合は、下記を参考にしながらやってみてください。
もちろん、先生やコーチに何のハーモニーなのかを聴いておくのもGOODです。
方法
①一番低い音(バス)パートと一番高いパート(ソプラノ)のバランスをとる
②他のメンバーを入れてバランスをとる
・吹いていないパートがいれば、その人に前で聴いてもらいながら行う
・それぞれが周りの音と溶け込むようなイメージをもつ
目的
・耳、聴く力をつける
・ハーモニーをしっかりと聴かせることでまとまりのある演奏にする
4.音楽的な表現を工夫する
一番大切なことなので、最後に書きましたが実際には1~3までの練習と常に平行させながら取り組んでいきます。
・自分たちがどういう演奏にしたいのか。
・各部分はどんなイメージか。
・聴かせたいところはどこか。
といったことをメンバーで話し合ったり、時には顧問の先生や、講師の先生のアドバイスも受けながら取り組んでみましょう。
わからない場合は、下記の方法を参考にしてやってみると、少しイメージが持てるようになると思います。
「歌」のある演奏を目指してみてください。
方法
①楽譜に書いてある音量の変化を、極端にしてやってみる
②メロディーのフレーズがどこで始まってどこで終わるかを確認する
③みんなで歌ってみる
目的
・曲のイメージを高める
・どういう演奏にしたいかを明確にする
まとめ
いかがでしたでしょうか?
もちろんこれ以外にも効果的な練習方法はあると思いますが、この記事に書いたような内容に気を付けながら練習することができれば、どんな団体や曲でも、ある程度の形になってきます。
そして、最初にも書いたようにアンサンブルには、「自分たちだけでつくりあげていく」という合奏にはない楽しさがあります。
慣れないうちは難しく感じる部分も多いかもしれませんが、その分できてきた時の面白さはアンサンブルでしか味わえない醍醐味だと思います。
是非、そのグループにしかできない音楽を目指してみてくださいね。
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