田村優弥&佐藤采香DuoConcert

本日はこちらのコンサートにいってきました。
 

田村優弥&佐藤采香デュオコンサート

 
新大久保にあります管楽器専門店DACの地下にあるホール、「スペースDo」にて行われた今回のコンサート。
 
DACで定期的に行われるユーフォニアム&チューバフェスティバルのイベントとして、チューバ奏者田村優弥とぱんだウインドオーケストラ団長でおなじみのユーフォニアム奏者佐藤采香のデュオコンサートが行われました。
 
この2人、田村優弥は芸大の同級生、佐藤采香は後輩と個人的にも非常に近く、そういう意味でも今回のデュオコンサートはとても楽しみなコンサートでした。
 
今回はそんなコンサートのレポートです。
 
 

プロフィール

 
参考までに2人のプロフィールを簡単にご紹介。
 

田村優弥 Yuya Tamura:チューバ

1991年栃木県宇都宮市生まれ。

中学よりチューバを始める。作新学院高等学校英進部を経て東京藝術大学音楽学部器楽科、同大学大学院修士課を修了。

これまでにチューバを池田幸広、稲川榮一、多戸幾久三の各氏に師事。 また杉山康人、Walter Hilgers、Rex Martin、David Zambon、Mike Roylanceの各氏に指導を受ける。

第39・41・42回藝大室内楽定期に選抜され出演。2013年ヤマハ管楽器新人演奏会に出演。2015年第20回コンセールマロニエ21金管部門第1位。またMenagerie Brass QuintetのメンバーとしてJTホールアフィニスでのコンサートに出演、2015年第10回チェジュ国際金管楽器コンクール(韓国)金管五重奏部門第1位。

これまでにサイトウ・キネン・オーケストラ、Die Deutsche Kammerphilharmorie Bremenの日本ツアーなどにエキストラとして参加する。

 
 

佐藤采香 Ayaka Sato :ユーフォニアム

 
1992年生まれ、香川県高松市出身。8歳でユーフォニアムを始める。高松第一高等学校音楽科を経て、東京藝術大学卒業。卒業時にアカンサス音楽賞及び同声会新人賞を受賞。現在、同大学院音楽研究科修士課程3年在学中。これまでにユーフォニアムを船橋康志、村山修一、齋藤充、露木薫の各氏に師事。
 
2014年第9回チェジュ国際管打楽器コンクールユーフォニアム部門 第2位、優秀学生顕彰( JASSO Students of the Year 2014)「文化・芸術分野」優秀賞受賞。2015年第32回日本管打楽器コンクール ユーフォニアム部門1位及び文部科学大臣賞、東京都知事賞、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団特別賞受賞。2016年ITECコンペティション(米国)第2位。2017年香川県文化芸術新人賞受賞の他、受賞多数。
 
ソリストとして東京シティ・フィル、東京藝大ウインドオーケストラと共演。
 
NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」への出演や雑誌・新聞に取り上げられるなど、ユーフォニアム界のホープとして注目を集めている。ぱんだウインドオーケストラ楽団長。
 
 
 
 
 
2人とも素晴らしい経歴の持ち主です。
 
田村は近年、色々なオーケストラや楽団にもエキストラなどで参加しており、演奏はもちろんその大きな身体からもステージでひと際存在感を放つ、すごく印象に残りやすいプレーヤーです。
 
一方の佐藤は、近年の日本を代表する若手ユーフォニアム奏者と言っても過言ではない、素晴らしいプレーヤーの一人で、今後ますます活躍すること間違いなしのアーティストです。
 

プログラム

今回のプログラムはこちら。
 
 
 
ファミリー・ツリー/M.デイヴィス
UFOコンチェルト/J.デ・メイ
朝の歌/E.エルガー(arr. R.チャイルズ、N.チャイルズ)
ファンタジー/保科洋
 
~休憩~
 
デビルズ・ワルツ/S.フェルヘルスト
チューバ協奏曲/J.ウィリアムス
カッチーニの「アヴェ・マリア」/V.ヴァヴィロフ(arr. 金井信)
ジプシー・イヤリング/A.ファラー(arr. R.マクジョージ)
 
2人のソロ一曲ずつと、デュオ数曲というとても機知に富んだ聴いていても楽しいプログラムでした。
 

UFOコンチェルト/J.デ・メイ

 
佐藤のソロ演奏プログラムでした。
 
UFOコンチェルトは近年日本でも演奏される機会の増えてきた曲で、その名の通りUFO(Euphoにかけた)らしい独特の世界観を持った曲です。
 
 
そして、ウィットに富んだ名前とは裏腹に曲の規模(約30分近い)や技術面でも高いものが要求される大曲でもあります。
 
そんな大曲を佐藤が演奏したわけですが、
 
圧巻。
 
安定した技術と佐藤らしいまっすぐな音楽性がストレートに伝わってくる本当に素晴らしい演奏でした。
 
その様子は、まさに“UFOを感じさせる異次元”という表現がしっくりくる、高い技術と世界観の詰まった演奏でした。
 
 

チューバ協奏曲/J.ウィリアムス

 
田村のソロは王道中の王道でありながら、未だにその難易度・完成度から多くのコンクールで本選の曲としてとりあげられるジョン・ウィリアムズのチューバ協奏曲でした。
 
上記のような理由から、学生時代も耳にすることの多かったこの曲ですが、改めて田村の演奏で聴くとその時とはまた違った面白さを感じることができました。
 
UFOコンチェルトにも通じる、壮大な宇宙感のあるこの協奏曲、難易度を感じさせない安定感のある演奏は、田村らしい説得力のある演奏でした。
 

ユーフォニアム&チューバデュオ

 
今回、ユーフォニアム&チューバのデュオまたはピアノ込みのトリオで取り上げられたのは下記の6曲。
 
・ファミリー・ツリー/M.デイヴィス
・朝の歌/E.エルガー(arr. R.チャイルズ、N.チャイルズ)
・ファンタジー/保科洋 
・デビルズ・ワルツ/S.フェルヘルスト
・カッチーニの「アヴェ・マリア」/V.ヴァヴィロフ(arr. 金井信)
・ジプシー・イヤリング/A.ファラー(arr. R.マクジョージ)
 
そのどれもが、初めてデュオをやるとは思えないような息のあった演奏でした。
 
 
これについては、佐藤が自身のツイッターでも述べていましたが、同じ東京芸術大学という環境で、共通の先生に習っていた。
 
ということが少なからず感じられました。
 

稲川榮一先生という共通項

 
佐藤と田村がともに過ごした学生時代(僕も同時期ということになりますが)、稲川榮一先生という素晴らしいチュービストであり指導者でもある先生が教えておられました。
 
※稲川先生は現在芸大は退官されましたが、今でも日大の吹奏楽などで指導を続けておられます。
その時の記事はこちら
 
そして同じ師匠の影響を受けた2人のデュオは、そのことを感じさせるような情感の溢れる音楽でした。
 
個人的にも同じ師匠にお世話になった身なので、そんな大学時代も思い出しながら聴いた2人デュオは、思いがげず泣きそうになっていました。
 
 

まとめ

ユーフォニアムとチューバのデュオコンサートというのはなかなか珍しいコンサートだと思います。
 
特に、普段その両楽器に馴染みのない方々はもしかすると一生聴くこともない編成かもしれません。
 
しかし、今回の田村優弥と佐藤采香のデュオコンサートは、個人的な私情を抜きにしても心から楽しめるコンサートプログラムでした。
 
そんな二人、
 
田村は来年度、東京交響楽団と今回演奏したジョン・ウィリアムスのチューバ協奏曲を共演することが決まっており、
 
佐藤は今年度、東京芸術大学の院を修了し、また新しいステップへと進んでいくことと思います。
 
いずれにせよ、素晴らしい同級生であり、尊敬する後輩である田村優弥と佐藤采香は、2人ともこれから日本のユーフォニアム&チューバ界を盛り上げてくれること間違いなしですので、みなさんも機会があれば是非聞いてみてください。
 
 
同級生や後輩に恵まれたなぁと改めて感じる素敵なコンサートでした。
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