日本大学芸術学部と東京藝術大学の吹奏楽定期演奏会

ここ2日でたて続けて音楽系大学の吹奏楽の定期演奏会に足を運びました。

同じ音楽系大学の吹奏楽定期演奏会でも
プログラム雰囲気など
受ける印象がまったく違っていたので、

今回はそのことについて記事にしてみたいと思います。

この2日で見に行った演奏会というのはこちら。

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2016年11月22日(火)
第28回日本大学芸術学部音楽科ウインドオーケストラ定期演奏会

2016年11月23日(水)
東京藝術大学ウインドオーケストラ定期演奏会第82回

に行ってきました。

まずは、それぞれの定期演奏会についての感想を。


第28回日本大学芸術学部音楽科
ウインドオーケストラ定期演奏会

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江古田にある日本大学芸術学部の吹奏楽定期演奏会です。

プログラム

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(前半)
ワーグナー/編曲:木村吉宏
楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲

バーンズ /
交響曲第2番

(後半)
チャイコフスキー/編曲:稲川榮一
バレエ音楽「白鳥の湖」作品20 第4幕より終曲

チャイコフスキー/編曲:淀彰
序曲「1812年」作品49
 

ワーグナーとチャイコフスキーというロマン派の大家を
編曲版で取り上げつつ、バーンズの「交響曲第2番」という
吹奏楽の名曲も取り入れたとても充実したプログラムでした。

指揮者

指揮は、大学時代の恩師でもある稲川榮一先生。

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大学受験から、大学入学後も非常にお世話になった先生で、
音楽のことから人間的な部分まで本当に多くのことを学ばせて頂いた偉大な先生です。 

感想

今回のプログラムで取り上げられた
「白鳥の湖」以外の曲は僕自身も大学時代に先生の指揮で演奏させて頂きました。

そういった経緯もあり演奏会を通してとても懐かしい気持ちで聴いていました。

特にプログラム最後のチャイコフスキーの「1812年」は圧巻でした。

曲中に現れる大砲や鐘を模した
大太鼓やチャイムが客席の1階廊下や2階席のバルコニーに設置され

客席全体をサラウンドに巻き込んだ演出はまるで
1812年にタイムスリップしたかのようでした。

 
こういった演出も指揮の稲川先生のカラーのひとつで
曲の聞かせ方(見せ方)へのこだわりや、
聴衆を巻き込んだ演奏会のコーディネートに対する思いからは

本当に学生時代から多くのことを学ばせていただきました。

そして、これも稲川先生の人柄だと思いますが、
演奏者である生徒一人ひとりを思いやっている様子が演奏会の随所に見られ

そのせいもあってか、
演奏自体も気持ちの入った一体感のある演奏でした。 

まとめ

 ・ クラシックの大家に吹奏楽で挑戦するプログラム

 ・ 演出も加わった体感型の演奏会

 ・ 指揮者や演奏者の心が入った暖かい演奏会 

 東京藝術大学ウインドオーケストラ
定期演奏会 第82回

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母校東京藝術大学の吹奏楽の授業選択者による後期の演奏会です。

プログラム

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(前半)
スパーク/
宇宙の音楽

スパーク/
パントマイム(ユーフォニアム独奏:佐藤采香) 
 
(後半)
レスピーギ/編曲:木村吉宏
バレエ音楽「シバの女王ベルキス」
 Ⅰ. ソロモンの夢(The Dream of Solomon)
 Ⅱ. 戦いの踊り(War Dance)
    Ⅲ. 夜明けのベルキスの踊り(The Dance of Belkis at Dawn)
 Ⅳ. 狂宴の踊り(Orgiastic Dance)

前半には吹奏楽の大家スパークの代表曲とコンチェルト
後半のレスピーギの「シバの女王ベルキス」も吹奏楽コンクールで一世を風靡した曲

と考えると吹奏楽が好きな人にはたまらないプログラムと言えそうです。

指揮者

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指揮は、クラリネット奏者で藝大の教授の山本正治先生です。
正治先生にも大学時代の吹奏楽の授業をはじめ本当にお世話になりました。 

ソリスト
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ユーフォニアムのソリストは佐藤采香でした。
今、日本の若手ユーフォアニム奏者で最も勢いがあるといっても過言ではないと思います。

後輩である彼女は楽器の技術はもちろんですが、
その活躍ぶりとは対照的な謙虚な姿勢も持ち合わせた
本当に素晴らしいプレーヤーです。

感想

演奏者としても聴く側としても本当におなかいっぱいになるであろうプログラムでしたが、

①吹奏楽オリジナルの大曲
②コンチェルト
③編曲もの

と、それぞれ毛色の違うプログラムが並んでおり、楽しむことができました。

また、独奏の佐藤采香を筆頭に
演奏者一人ひとりの高い技術に学生特有の若さ・勢いも加わって
「これぞ藝大ウインドサウンド」といった印象でした。

具体的には、

①楽器の鳴り
②弱奏のきめの細やかさ

が圧倒的で、
そういった意味でも高校生のバンドなどアマチュアとは一線を画している要因かと思いました。

まとめ

 ・  吹奏楽ファンには堪らないプログラム
 
 ・  充実したフォルテと繊細なピアノの幅広いダイナミクスレンジ
 
    ・  演奏者ひとりひとりの「個の力」が存分に発揮されたハイレベルな演奏


おわりに~2つの演奏会を聴いて~
 

2日間に渡って日芸と藝大という同じ音楽系の大学の吹奏楽定期演奏会を聞きに行き
いろんな発見がありとても面白かったです。

どちらの演奏会にも

①学校
②指揮者
③生徒(演奏者)

それぞれの特色が出ていて演奏はもちろんのこと、
会場全体の雰囲気も含めて楽しむことができました。

これはクラシックの演奏会全体に言えることですが、

 ・ (同じ曲・編成で)異なる演奏者の音楽を楽しむ

 ・ それぞれの演奏者のカラーを楽しむ

というのはクラシック音楽ならではの楽しみで
ライブの演奏会にしかない味わい方のひとつだと思います。

みなさんも共通点のある2つ以上の演奏会に足を運んでみてください。

何か新鮮な発見がある…かもしれません。

その時に感じた「吹奏楽の魅力」についても記事にしてみました。
こちらもの記事もどうぞ。

吹奏楽の2つの魅力~オーケストラとの比較~ 

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