知人から招待券をもらい演奏会に行ってきた。
中島彩ピアノリサイタル
〜ポリフォニーの愉しみⅢ〜
ピアノのリサイタルは今まで何度か足を運んだが
どのリサイタルも演奏者の個性が著しく表れて面白いなと思う。
もちろんリサイタルである以上ピアノに限らず同じことが言えるけれど
楽器の条件がある程度制約される楽器なだけに
客観的に演奏者の個性を感じやすいのかもしれない。
それに加え今までピアノリサイタルを聴いたほとんどが東京文化会館の小ホールだったので、その違いがとても面白いと感じる。
今日お聴きした中島彩さんピアノの所感は
①誠実で実直な演奏
②p(弱奏)が美しい
③端正な音色
ということ。
ポリフォニー音楽を題材にしたプログラムは
バロックからバッハ、古典派からベートーヴェン、ロマン派からショパンという
実にまっすぐなプログラムだったように思う。
(バッハ、ベートーヴェン、ショパンの時代に楽器が存在していないユーフォニアム奏者からすると非常に羨ましいプログラムでもある。)
全曲を通して女性的なしなやかさと男性的な力強さが印象的で
それぞれの表現が先述した端正で濁りのない音色によって紡ぎ出されていた。
個人的にはピアノ曲はやはりバッハが最も好きだ。
リサイタルの一曲目として取り上げられた
パルティータ第5番ト長調
の一音目が奏でられた瞬間今日のリサイタルに来て良かったと思った。
演奏会とは直接関係ないが今日偶然辛いことがあった。
けれど、こうして音楽に携わることでそれが良い意味でリセットされ
自分がなぜ音楽が好きなのか
という本質的なところに立ち帰らせてくれる。
バッハの音楽にはそういった力があるのだろうと思う。
リサイタル最後にアンコールとして演奏された
主よ人の望みの喜びよ/J.S.バッハ
(この曲は先月の春の管まつりのアンコール曲でもある。)
は、そんな今の自分の心境ともあいまってか終わって欲しくないと思う時間の流れだった。
素晴らしいリサイタルと素晴らしいバッハの音楽に心から感謝したい。