年度最後の月。3月。
この時期に「定期演奏会」を行っている吹奏楽部(団)もたくさんあるのではないだろうか。
演奏と同時に多くの学校が取り組むもの。それが、
「演出」
多くの学校が一度は経験したことのある演出について、今回はその時に気を付けたい「演出のコツ」について書いてみたいと思う。
そもそも演出がいるのか?といった論議もありますが、今回はそこについては触れておりません。
1.誰のための演出か?を考える
まず、演出するにあたって一番に考えなければいけないのはこれ。
「定期演奏会」は誰のためにやるのか?
部員、卒業する3年生、顧問の先生…それもあるかもしれないが、
やっぱり一番は、
自分たちの演奏を聴きに来てくださるお客さん
であってほしい。
そうなると定期演奏会で行われる「演出」も当然お客さん目線で考えなければならない。
「はたしてこれを見ている人は楽しいのか?」
「自分たちが満足するだけになっていないか?」
そのことをつねに頭に置いて演出の企画・練習しよう。
2.聞かせる演出か。見せる演出か。
演出には大きく分けて2種類ある。
A.演奏(音楽)をより聴いている人にわかりやすく伝えるための演出。
例)演奏に合わせて行うスタンドプレイ、ソロを目立たせるための演習など
B.演奏(音楽)に合わせて行う見せる演出。
例)寸劇などストーリーのあるもの、観客席に降りていくタイプなど
Aの演出は、あくまで「音楽」がメインなので、それを邪魔するものであってはいけない。
演出することによって聴いている人がより演奏を楽しめるような演出を心掛ける。
Bの演出は、音楽がBGM的に扱われ、お客さんは「見ること」に意識が集中している。
Aよりも演出の比重が増えるため、関わる人はより責任をもって演じることが必要になる。
もちろん、オペラやミュージカルといった、「音楽」と「演出」の要素がより複合的に入ったものもある。
3.演出する時の“3つの基本”
特に初めて演出に取り組む時には、
①大きく動く
②恥ずかしがらない
③一生懸命やる
この3つだけ気をつけてみよう。
この3つの基本をしっかりとおさえておけば、充分良い演出になる。
①オーバーに
ステージは思った以上に広い。
そこで小さな人間がするのだから、できるだけ身体を大きく使う。
指先から足の先まで、伸ばせるところはしっかり伸ばす。
感情の表現などもお客さんに伝えられるようとにかく大きく、オーバーに。
②恥ずかしがらない
自分が客席に行くとわかるが、ステージ上で恥ずかしがっている姿ほど見ていられないものはない。
ステージでは「自分」の殻をぶち破ってやりきる。決して恥ずかしがっている様子は見せない。
③一生懸命やる
プロではないので、技術的な「完璧」はきっと難しい。
まして、中学生や高校生の定期演奏会でできるものには限度がある。
じゃあ演出で何を伝えるのか。それは、
そこまでに懸けたエネルギーだったりまっすぐ向き合っている姿。
だからとにかく一生懸命にやる。一生懸命にできないなら、演出はしない方が良い。
そして、一生懸命やっている姿は人を感動させる。
2.聞かせる演出か。見せる演出か。
これが意外と大切。
プロが考える訳ではないので、作りこむうちにどうしてもやりすぎてしまう
そうすると、見ている方は次第に疲れてくる。
お客さんはみんなの演奏を聴きに来てくれるのであって、演出はあくまで脇役。
なので、ある程度仕上がってきたら「無駄な演出」が無いかを探して、なるべく少ない演出で効果的にお客さんに伝えられるように工夫してみよう。
5.不公平感を出さない
最後に、“ごく一部のお客さんしか楽しめないような演出”は避けよう。
実際の演奏会では、数百人~1000人近いお客さんが聴いてくれている。
ホールに聴きに来てくださったお客さんが、“みんな楽しめるような演出”の方が、見ている人もきっと気持ち良い。
6.まとめ
いかがだっただろうか?演出についてをまとめると、
1.お客さんのための演出を考えよう。
2.聞かせる演出か。見せる演出か。
3.演出は、大きく、恥ずかしがらず、一生懸命に。
4.無駄な演出はそぎ落として。
5.来てくれるお客さんみんなが楽しめる演出に。
ということになる。
良い演出はお客さんを感動させるし、学生の演奏会だからこそできるおもしろい演出もあるだろう。
この記事を読んでくれたみなさんには、演出にも気を配った最高のステージを、ぜひつくってみて欲しい。
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※演出についてのご相談も受けつけています。もし何かお悩みなどある場合にはコメントなどでお気軽にご相談ください。
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最後に、実際の部活で使える『演出チェックリスト』を載せておきます。
ぜひご活用ください。
チェックリスト
1.お客さん目線の演出になっているか?
2.その演出をする目的は何か?
3.演技などは小さくないか?オーバーにできているか。
4.恥ずかしがっていないか?
5.一生懸命にできているか?
6.不必要な演出はないか?
7.演出に不公平感はないか?
8.ホールの規約に違反していないか?
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