仕事柄、学校の先生とよく接する機会があります。
一つの学校にいるとなかなか気づきづらいと思いますが、たくさんの先生方との関わりの中で感じた「良い先生の条件って何だろう?」ということについて書いてみたいと思います。
これから新しく先生になられる方や、何となく指導がうまくいかない先生の少しでも参考になれば幸いです。
良い先生のたった1つの条件
普通に学校内でお話したり、指導に行った際の部活の顧問の先生だったり…と色々な場合があるのですが、話しているうちにふと気づいたことがあります。
それが、
良い先生は子どもの可能性を信じている
ということ。
先生に限らず、誰かに何かを教える立場にある人で、この人はいい先生(指導者)だなぁと思うときには、必ずと言っていいほど「生徒のことを信じ」ていることに気づきます。
いい先生の叱り方と指導方法
もちろん、子どもが何か悪いことをして叱っていることもあるのですが、その叱り方も
お前はダメなやつだ
というより、
お前はこんなことで自分の価値を落としちゃいけない
と、子どもが自分自身の可能性をつぶしていることに対して怒っているスタンスに見えます。
そして、この良い先生の影響力は高校生→中学生→小学生と年齢が低くなればなるほど顕著になります。
教えに行っている小学校の中に、全国レベルの吹奏楽部を指導していらっしゃる先生がいるのですが、その先生は、小学生に対してしれっと“高校生級”のことを要求しながらも、そこには
きみたちなら絶対できる!
という「信じる姿勢」が滲み出ています。
そこまで信じられているから、生徒も「絶対できる!」「なにくそ!」という食らいつく姿勢で応えていく。その結果、こっちが見ていても生徒が「自分達にはできる」と思っているのが伝わってきます。
そして、結果として小学生離れした演奏が可能になる。
その学校の場合は、先生が子どもの可能性を信じていることでそんな良いサイクルが生まれています。
子どもの可能性と限界を決める大人
たしかに考えてみれば、小学生の時が人生の中で一番「なんでもできる」と思っていたような気がします。
その「なんでもできる」の限界を決めるのは、大体の場合、近くにいる大人です。
最近は小中学生でも「夢」を語る子どもが激減していると言います。
第37回日本アカデミー優秀音楽賞を受賞し、キングコングの西野さんが描いた絵本「えんとつ町のプペル」の音楽も作っていらっしゃる作曲家の渡邊崇さん(大阪音大教授)もこんなツイートをしていました。
昨日、中学生から助言を求められたので「今、12歳?13歳?今からやれば何にだってなれるよ。夢は全て叶うよ。俺なんて、27歳から音楽勉強したんだ」って答えると、それは天性の才能があったからであって、私達はもう無理だ、すでに手遅れだってその子達が言ったんですよ。
— 渡邊崇📫 (@WatanabeTakashi) 2018年4月15日
本気でそう思っているのか、何かに対して言い訳をしているのか分からなかったけど、10代前半でそういう答えが出てくる要因は一つしかない。普段接している、大人が、彼らにそう言っている。それしかない。
僕は中学の時に進路相談で夢を語った。先生は呆れた顔で「バカか。現実をみろ」と言った。— 渡邊崇📫 (@WatanabeTakashi) 2018年4月15日
その時の彼(先生)の顔はよく覚えている。親も先生も、子供の将来が心配で、子供も事を思って「夢を諦めろ」と言うんです。それが子供の伸びしろを潰している事に気がついていない。
つまり、何にもわかっちゃいないんです。
適切な努力をすればなりたい自分になれる。
これは間違いないです。— 渡邊崇📫 (@WatanabeTakashi) 2018年4月15日
たしかに、大人として、世の中の厳しさを教えることも大切なのかもしれません。
しかし、「安定した職業に就くことが大切なんだよ」と言っている大人の多くも、小学生の頃はきっとおおきな夢を持っていたんじゃないかと思います。
まとめ
子どもに夢を持たせるのも大人だし、夢を持たせないのも大人です。
だからこそ、子どもに大きな影響力を与える大人の一人である「先生」も、同じ影響を与えるなら良い影響を与えていって欲しいなと思います。
そして、そのたったひとつの条件こそ「子どもの可能性を信じる」ことなのではないかと思います。