管楽器のピッチを合わせるための方法

先日、とある学校にユーフォニアムのパートレッスンで伺った際に、生徒から

「ピッチ(音程)が合わないんですが、どうしたら良いでしょうか?」

という質問を受けました。

ちょうどその日は、その生徒一人だけのレッスンだったので、
いつもより時間をかけてチューニングを行ない、ピッチを修正していきました。

今回は、その時のレッスン内容を「チューナーの使い方」と「ピッチ(音程)の変え方」に焦点を当てて記事にまとめてみたいと思います。

チューナーを使う

チューナーを使ってできること

よく言われることですが、「チューナーはピッチを合わせるための目安」にすぎません。

この意味は、チューナーで真ん中に合わせることができたからといってそれで良しとはせずに、合っている時の音を身体と耳で覚えることが大切ということです。

頼りすぎてはいけないチューナーですが、初心者のうちなど最初のうちは正しい音程感を身につけるために便利な道具ですので、上手く活用して欲しいと思います。

練習の手順

具体的な練習の手順としては、

①チューナーを見て正しいピッチに合わせる

②その時の音を「耳」と「身体(吹奏感)」で覚える

③覚えられたらチューナーを見ずに吹いてみる

④チラッとチューナーを見て合っているか確認する

というような流れで練習すると次第に身体に音程感が身についてきます。

また、最近は自分の音をより視覚的に捉えることができる便利なチューナーアプリも出てきていますので、そういったものを有効活用するのも良いと思います。

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チューナーを見ながらピッチを合わせることができれば良いのですが、実際には、今回の生徒さんのように「真ん中に合わせることが難しい」ということも少なくないと思います。

次からはどのようにして正しいピッチに合わせていくか。

これについて具体的に考えていきたいと思います。

ピッチを変える

ピッチを上げる・下げる基本的な方法

管楽器の場合は、基本的に口の中の体積を変えることでピッチを変えます。

その時に役に立つのが、演奏中口の中で自由に動くことのできる器官。

です。実際、プロのプレーヤーや上手な人ほど口の中で舌が自由自在に動き、それにより正しい音程を生み出しています。

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管楽器は、舌を上手く使うことでピッチをコントロールしていきます。

ピッチを口で変える練習方法

基本的な考え方として、

舌の位置が顎に近くな(下げ)ればピッチは低く
鼻に近くな(上げ)ればピッチは高く

なります。

トランペットやユーフォニアムであれば、真ん中のFの音をロングトーンしながら、舌の位置を上げたり下げたりしてみてください。

音が高くなったり低くなったりすると思います。

この時に唇周りの筋肉が緩んでしまうと音自体が変わってしまうので、唇と口周りの筋肉の状態は変わらないようにしっかりと息で支えるよう注意が必要です。

舌を動かしてもピッチが変わらない場合は、口に力が入りすぎていたり口の中がそもそも狭すぎたりしている可能性があるので、程よい力の入れ具合を見つけられるよう気をつけて練習してみてください。

他にも、舌を使った練習には、トランペットなどでよく取り組まれる「ベンディング」という練習方法があります。これは、簡単に言うと、口の力だけで(半音くらい)音を変える練習です。

詳しくはこちらの方の記事がわかりやすいと思いますので、参考にしてみてください。

楽器のツボをつくる

舌を上手く使ってある程度ピッチが合ってきても、最初のうちは

「なんだか音がちゃんと鳴ってない気がする…」

という感じを受けると思います。これは、

「正しいピッチのツボで楽器と唇が鳴ることに慣れていない」から

です。

今まで正しくないピッチで吹き続けていたことで、楽器や唇は変なピッチの状態の「ツボ」を覚えてしまっています。正しいピッチ「ツボ」にちゃんとハマってくれないため、最初はなんとなく変な音に感じてしまうのです。

そのため、ある程度舌を使ってピッチを合わせる(矯正する)ことができたら、次は楽器にその音のツボを作るようにします。ここで役に立ってくれるのが、

お腹(=息)

で、舌を使って正しいピッチの口の状態をつくることができたら、その状態をキープしながら今度は楽器に息をしっかり入れていきます。

この時、「のど」や「舌」の力で吹こうとしないよう注意してください。のどや舌で吹こうとすると、さっきの正しいピッチからどんどん高くなってしまうので、お腹の力で息を吹き込むよう気をつけて練習してみてください。

耳で聴いてもよくわからないという人は、チューナーを見ながら、正しいピッチを保ちながらクレッシェンドをする練習も良いと思います。

この手順で、ある程度息が流れるようになってくると、かなり正しいピッチとそれに合った良い音の「鳴り」を見つけることができるようになっているはずです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は管楽器、特に金管楽器を例にとって「正しいピッチで楽器を吹く」ことについて書いてみました。まとめると、

①舌を使って正しいピッチに矯正する

②正しいピッチを取れるようになったら、楽器に息を吹き込んで「ツボ」をつくる

ということになります。こうしてつかんだ音程感を、身体や耳で覚えておくことで、いつでも正しいピッチで吹けるようになっていきます。

実際に、この方法でレッスンすると、それまでずっと上ずってしまっていたEsの音のピッチをその日のうちに(1時間くらいで)正しいピッチにすることができました。

もちろん、こういった練習が合う人も合わない人もいると思いますが、ピッチが合わなくて悩んでいる人の参考に少しでもなれば幸いです。

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