吹奏楽部の部長って?向いている人と心得

  • 2019年3月31日
  • 2019年3月31日
  • 吹奏楽
  • 28990view

吹奏楽部に限った話ではありませんが中学校や高校の部活動には部を率いる「部長」がいます。

夏のコンクール時期や3月の年度の変わり目など、新体制に変わる時期は部によってそれぞれかと思いますが、今回は吹奏楽の部長に関して向いている人と心得ておくと良いことをまとめてみたいと思います。

自分の話

この記事を書いている私もありがたいことに中学では副部長、高校では部長をそれぞれ経験させていただきました。

当時は確かに大変なこともありましたが、今思えばその時の経験は社会に出てもとても役に立っています。

そして私の周りの音楽仲間にも「人間的にちゃんとしているな」と思う人にはかつて部長、副部長をしていた人が結構な数いることに驚いています。

この記事を読んでいる方はおそらく部長をする上で何かしらの悩みを抱えてこの記事にたどり着いたことと思います。今は苦しいこともあるかと思いますが、この経験は必ず将来役に立つので、ぜひ前向きに頑張ってください。

少なくとも部活に対して何かに悩み、それを乗り越えようとしているあなたには部長の素質があると思います。

この記事がそんなあなたの役に少しでも立てば幸いです。

部長の役割

一言に部長の役割と言っても副部長や会計、楽譜係などそれ以外にどういった役職があるかにもよって実際は異なります。とは言えどの部にも共通している一番の役割は

部(部員)の士気を高める

ということです。毎年コンクールで金賞を取るような強豪校であってもそうでない学校であってもこの大きな役割には違いはありません。部(部員)の士気を高めるには大きく2つのタイプがあります。

楽器で引っ張る

一つ目は楽器の演奏技術で引っ張る「職人タイプ」の部長。言い換えると「背中で語るタイプ」とも言えます。

このタイプは練習にも熱心で日頃の活動にも真面目に取り組んでいます。音楽に対しても真摯に向き合っているので、部員も「この部長の言うことなら聞こう」「この人となら良い音楽を目指せそう」と自然と士気が上がります。

人間性(キャラクター)で引っ張る

二つ目は人間性(キャラクター)で引っ張る「仁徳タイプ」の部長。このタイプの場合、楽器の演奏技術はあまり関係ありません。とにかく人から慕われ、言い換えれば「愛されタイプ」とも言えるかもしれません。

一人でグイグイ引っ張っていくと言うよりは、みんなで一緒に頑張っていく部を自然と作ることができます。

吹奏楽部の部長に向いている人

以上のことから吹奏楽部の部長に向いているのは、

  • 楽器の演奏技術がある人
  • 練習に対して真面目に取り組むことができる人
  • 音楽に対して真摯に向き合っている人
  • 人間性が豊かな人
  • 人から愛される人

のどれかを持つ人だと言えます。とは言え、このどれにも当てはまらない場合でもそのどれもが意識をすれば高めていくことができるものばかりですので、これから部長になる人もすでに部長の人も、頭の隅に置いておいて頑張って欲しいと思います。

部長の心得

ここからは吹奏楽部の部長、人の上に立つ人としての心得を少し書いてみたいと思います。

先ほど「部長に向いている人」という内容について書かせていただきましたが、裏を返せばその一つ一つが部長としての素質に繋がる「心得」ということにもなります。

  • 楽器の演奏技術を高めようと頑張る
  • 練習に対して真面目に取り組む
  • 音楽に対して真摯に向き合う
  • 人間性を磨く
  • 人から愛される人(人の気持ちがわかる人)になる

もちろんこれら全てが完璧な人なんてそうそういるはずもないので、完璧を目指すことはなく少しずつ努力してくれれば良いあくまでも「努力目標」です。

2:6:2の法則

ここで吹奏楽の部長をする上で役立ちそうな法則を一つご紹介したいと思います。それが

2:6:2の法則

です。別名「働きアリの法則」とも言われ組織にいる人のことを表した法則で

組織においてその運営の大部分を占めるのが上位2割
普通の人が6割
あまり積極的でないのが下位2割

ということ表しています。また同法則では「構成員が変わってもこの比率は維持される」とも言われ年によって大きな変化がないことも示しています。

この法則を吹奏楽部に置き換えて考えてみると、

部活の上位2割(セクションリーダーやパートリーダーが主)が方向性を決め、
6割は普通の感覚で、
下位2割は部に対してそこまで意欲的でない。

と言えそうです。そして今回この法則を通して部長の皆さんに心得ておいて欲しいのは、

全員が同じ士気を保つことは非常に難しい

ということ。こう考えると部の全員が全員やる気に満ち溢れている状態はむしろ若干異常とも言え、たくさんの人がいれば必ず色々なモチベーションの人がいることを知っておくだけでだいぶ気持ちが楽になるかと思います。

それぞれの区分に対しての対応

「組織には色々な人がいる」ということを踏まえた上でそれぞれどう対応していくかを書いておきます。

上位2割は「尊重」

吹奏楽部においては、主に部長、副部長、セクションリーダー、パートリーダー…などを中心とするやる気のある人たちです。この2割はある程度自分で考え行動することもできるので、一人一人の自主性を「尊重」しましょう。

とは言え、部の目標や部訓といった活動の上で軸となる部分に関しては部長がしっかりと方向性を示すことも必要です。

また、何かでぶつかった時でもしっかりと話し合えれば最終的に必ず良い方向に行くのもこの区分の人とコミュニケーションする上での特徴です。

中位6割は「理解」

部のほとんどを占めるのがこの区分です。すごくやる気がある訳でもないがかといってやる気がない訳でもない人たちです。

この区分の部員は基本的に「言えばやってくれる」ので部長が良い流れさえ作ることができればしっかりとついてきてくれます。「今なぜこれが必要なのか」をしっかりと「理解」してもらうことが大切になります。

ただ、この区分の人と意見がすれ違った時に部長が一方的に意見を押し付けても伝わらないことがあるので、何か新しい提案をするときなどは伝え方に気をつけましょう。

部長としてはこの6割の人をどう動かすかが腕の見せ所です。

下位2割は「浸透」

最後の2割は新入生や部活に対してそれほど意欲的でない部員です。中には「楽しければ良いよ〜」とやや同好会気質な部員がいる場合もあります。

ただ、意欲が低いとは言いましたが決して「お荷物」ということではなく、一緒に音楽をする上での大切な仲間であることには変わりありません。

これまでの8割の部員と比べると自ら動いてもらうのには少し工夫が必要になりますが、部長は変に遠慮することなくしっかりと熱意を伝えましょう。

部長が熱意を持っていれば次第に熱意が「浸透」していきます。

この区分にはなんとなく本気を出すきっかけを見つけられていない人もいるので、そのきっかけを部長や周りの部員がつくることができれば、結果的に部全体の雰囲気もグッと良いものに変わっていきます。

総合力を高める

言うまでもなく吹奏楽は団体戦で「総合力」がものを言います。誰か一人だけが上手かったからと言って全国大会に行けたり、感動する演奏ができたりすることはまずありません。

年齢も意欲も異なる多くの部員をまとめていく部長の苦労はとても大きいものがありますが、それぞれの部員がどの区分にいるかを見極めた上でなるべく多くの部員が部活や音楽に対してやる気になってくれる部活作りを心がけてみてください。

また、あくまでも

一人一人「一生懸命」は違う

ということを頭に入れて、全員がその人なりの「一生懸命」をもって吹奏楽に取り組むことができていれば、部としての士気も高まり吹奏楽において大切な「総合力」が自然と高まっていくはずです。

部長をやることの魅力

人にはみんな個性や適性があります。特に中高生世代は個性もしっかりと出てきて、同い年の部長がそれをまとめていくのはとても根気がいります。

しかしその分、本番一つやり遂げるだけでも普通の部員以上に達成感を得ることができるというのも部長ならではの特権です。

他にも、部長がその気にさえなれば部活の雰囲気や演奏すら変えることもできます。

今まで「変だな」「もっとこうしたいな」と思ったことがあればそれを実現していけるだけの力が部長にはあります。ぜひ、他の部員とも協力して良い部活をつくってみてください。

同世代の仲間をまとめて一つの目標に向かって取り組むこの経験は、大人になってからもそうそうできることではありません。中高生の今だからこそその苦労も含めて成長できるチャンスと頑張ってみてください。

そして、一年間やり遂げた時にはそれこそ一生涯残る「達成感」と、大人でも役立つ「スキル」を身につけていることができていると思います。

まとめ

今回は、吹奏楽部の部長についてまとめてみました。色々と偉そうなことも書きましたが、これはあくまでも部長の一つの形に過ぎません。

実際には、自分で悩み、考え、時には仲間に助けられながら理想の部長像に近づいていって欲しいと思います。

大変なことは間違いありませんが、それ以上に楽しくやりがいのある部長というポジション。ぜひ、やり遂げていただければと思います。

この記事がそんな部長に悩む皆さんの少しでも参考になっていれば幸いです。

関連記事

中学校の時に副部長にしてもらったり、高校の時に部長にしてもらったり、大学卒業してから教壇に立たせてもらったりと、幸いなことに人前で話す機会をいただいてきた。 そんな中、自分が使ってしまった時に「あっ、しまった!」と思ったり、なんとなく人の[…]

最新情報をチェックしよう!