音楽家の未来と来年に向けての豊富

子どもたちの「なりたい職業ランキング」にyoutuberが入ってきて久しいですが、「クラシック音楽家」は何位なんだろう?と思って調べてみても、全く入っていなくてがっかりしています。

一応、小学生の女の子の「なりたい職業」の10位に「ピアニスト、ピアノの先生」が、ハローワークの公式サイトの人気職業ランキング(11月集計)の75位に「コレペティトゥア(オペラなどの稽古ピアニストのこと、でもなぜ??)」がかろうじて入っていました。

https://www.13hw.com/jobapps/ranking.html

そもそも「クラシック音楽家」は職業として認識されているんだろうか…

かくいう僕も職業はなんですか?と聞かれたら答えに非常に悩むわけですが、聞かれる相手に応じて

音楽家です

指導者です

企画する人(コーディネーター)です

教員です

音楽団体の代表です

と色々と答えてます。何でも屋といえばそうかもしれません。

クラシック音楽家とはなんぞや。

とまぁ、日本では認知されていないクラシック音楽家ですが僕の周りにはかなりの数、「クラシック音楽でご飯を食べている人」がいます。

それぞれと話す機会も多いのですが、先日某在京オーケストラの所属プレイヤーと話していた時のこと、

給料は一般的なサラリーマンの初任給くらい

お昼はおにぎり、夜はパスタばっかり食べてる

(彼は20台独身一人暮らし)

と、なかなかの苦労話を聞くのです。(もちろんこのあたりお給料の話はオーケストラによって様々です)

彼は有名なコンクールで一位も獲得しているし、70人近くが受けたそのオーケストラのオーディションに合格してその席を手にした実力の持ち主ですが、そんな彼でも生活は大変なのです。

オーケストラの活動をしていると定期演奏以外にも、文化庁の事業などで学校を回ったりするのですが、そうやって子どもたちにたくさんの夢を与えているオーケストラの団員がなんとも夢のない生活をしている。

これじゃあ、音楽家になかなか憧れないよなぁと思います。

人気の職業の代表格に「プロスポーツ選手」があります。

もちろんシンプルな憧れもあると思いますが、テレビや新聞でも

「年俸◯億!」とか「賞金女王、獲得総額◯億!」

とかよく言っているのです、漠然とすごい稼いでるんだろうなぁと思っていると思います。

やっぱり生きていく以上、お金も大切。

確かに、「オペラ大抜擢、出演料は〇〇万円!!」みたいな記事って見たことありませんし、なんとなく芸術とお金の話題ってタブーな感じさえしてしまいます。

むしろ、お金のことが話題になる時はどちらかというと「ピアノ一台◯◯万円」「年間のレッスン料はなんと〇〇」みたいなネガティブな内容として取り扱われることが多いように思います。

そうすると、「お金ばっかりかかって食べていけないんだから音楽家なんてやめておこう」となったり、もし子供が憧れても親からそう言われたりするわけです。

結果として「音楽家=夢のない職業」ということになってしまいます。

「職業」の魅力を判断するときの材料として、

どれだけ人に夢を与えているか

どれだけ人の役に立っているか

があると思うのですが、プロスポーツ選手同様に、「音楽家」もかなり夢を与えられる職業の一つだと思います。

もし仮に、

夢を与えた量=お給料

になるとしたら、音楽家は最もその隔たりが大きい職業かもしれません。

話を戻します。

僕の周りにいる「クラシック音楽でご飯を食べている人」も本当にみんな素晴らしい音楽家だし、人格者だし、たくさんの人に夢を与えたり笑顔にしたりしています。

だけど、やっぱりバイトを続けていたり、「音楽辞めて就職しようかな」と漏らしたりしているんです。

来年僕は30歳の節目の年を迎えます。

必然的に僕の周りにいる音楽家仲間もそのくらいの年齢になっていて、さっき話したオーケストラの団員以外にもそれぞれ音楽家を職業とすることに悩んでいます。そして、結婚や家庭、出産や子育てといった人生設計についても人並みに考えます。

その時に自分が音楽家であることが「ー(マイナス)」に働いてしまう世の中はとてもさびしい。

僕自身も大学卒業して以降、なんだかんだで楽器を吹いて音楽家として生活させてもらっています。これは支えてくれる仲間のおかげであり、演奏の場をくださる方のおかげであり、お客さんのおかげです。それはステージで拍手をもらうたびに感じます。

だからこそ、

自分がこれからも音楽家でいつづけるために、

周りの音楽仲間たちが少しでも夢を持って生きていけるために、

何より、未来の子どもたちが「夢」を持って音楽家を目指してくれるために

自分にできることを来年は全力でやっていきたいと思います。

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