吹奏楽をやるなら一度は聴いておきたい名曲3選〜ポップス編〜

日本では小学生から大人までみんなが親しむようになった「吹奏楽」ですが、その中で吹奏楽を代表し「名曲」と呼ばれる作品をご紹介します。

今回は吹奏楽をやるなら一度は聴いておきたい、そして演奏したい作品3曲をご紹介していきます。

どの曲も日本吹奏楽では外すことのできない長く愛されている名曲です。

日本で愛されているポップス曲3選

シング・シング・シング

作曲家:ルイ・プリマ

編曲家:岩井直溥

出版:New Sounds in Brass 第9集(2007年)

2004年に公開された、女子高生の吹奏楽映画「スウィングガールズ」でも取り上げられ有名となったスウィング・ジャズの名曲です。出版は、多くの素晴らしいポップス編曲を生み出してきたヤマハの「New Sounds in Brass(ニューサウンズインブラス)」で、シリーズ第9集に収録された岩井直溥氏の名編曲です。

宝島

作曲家:和泉宏隆

編曲家:真島俊夫

出版:New Sounds in Brass 第15集(1991年)

日本のインストゥルメンタルバンド、T-SQUARE(ティー・スクェア)の作品の吹奏楽編曲版です。冒頭からラテンパーカッションによるサンバのリズムが軽快な作品で、編曲は日本を代表する吹奏楽作編曲科の一人である真島俊夫氏です。

吹奏楽のコンサートでは、アンコールでも頻繁に演奏されるなど、吹奏楽で長くて愛されているポップス曲です。

ディズニーファンティリュージョン

作曲家:(ディズニー各曲)

編曲家:星出尚志

出版:New Sounds in Brass 第24集(1996年)

数多く存在する吹奏楽ディズニー編曲作品の中でも、古くから愛され今なおその人気が衰えることない名編曲です。ディズニー作品何を取り上げたいか迷っているならこれを選んでおけば間違いない、そんな作品です。

編曲はポップスアレンジに定評のある星出尚志氏で、全曲を通してディズニーの名曲が散りばめられ、終始豪華なサウンドが演奏しても聴いていても楽しい編曲になっています。

日本吹奏楽界を支える3人のポップス編曲家

日本を代表するポップス作品を3曲ご紹介させていただきましたが、期せずして全てヤマハのNew Sounds in Brass(ニューサウンズインブラス)の作品となってしまいました。

このNew Sounds in Brass作品ですが、1972年から日本の吹奏楽ポップス界を支えてきた言わば「日本吹奏楽ポップス界の老舗」です。ここでは吹奏楽ポップスの編曲を支えてきた3人の作曲家をご紹介しておきたいと思います。

岩井直溥 Naohiro Iwai

出典:ヤマハミュージックメディア

岩井直溥(1923年−2014年)は、先述のNew Sounds in Brassを当初から支えてきた日本を代表する作編曲家で、ご自身も東京藝術大学ホルン科を卒業後、ビックバンドでトランペット奏者としても活動していました。

そして、ご自身の経験を元に当時日本で盛んだったビックバンド(ジャズバンド)と吹奏楽を融合させたいという想いから、「新しい音楽=ニューサウンズ」を生み出した、まさに「日本吹奏楽ポップスの生みの親」と言っても過言ではない方です。

作編曲作品は数多く、それぞれにご本人のクラシックとジャズの体験が生かされた「岩井サウンド」を感じることができます。

「日本の吹奏楽ポップスを盛り上げたい」

そんな岩井氏の想いを感じることができる作品は、今なお日本の吹奏楽関係者に愛されています。

真島俊夫 Toshio Mashima

出典:Pianoと私

『3つのジャポニズム』や『鳳凰が舞う』など、日本的な吹奏楽作品でも有名な真島俊夫(1949年−2016年)も、先述のニュー・サウンズ・イン・ブラスを当初から支えてきた日本を代表する作編曲家で、岩井直溥氏が切り開いた日本吹奏楽のポップスを確立した方です。

ご自身もトロンボーン奏者として活動する一方で、日本のポップス界に数多くの作品を残し、和声法や作編曲は日本吹奏楽界の先駆者でもある兼田敏氏に師事しています。2006年『鳳凰が舞う』で、クー・ド・ヴァン国際交響吹奏楽作曲コンクール(フランス)グランプリ受賞。

ポップスの作編曲は、トロンボーン奏者らしいグルーヴ感が特徴でどの曲でも真島的な“ノリ”を感じることができます。

星出尚志 Takashi Hoshide

出典:香坂千晶の「踊るしゃちほこ」

星出尚志(1962年−)は、先述の岩井氏、真島氏に強く影響を受けた作編曲家です。

星出氏は、小学生時代に岩井氏が監修したニュー・サウンズ・イン・ブラス第1集と出会い、大学卒業後ヤマハに入社してから現場にて岩井氏や真島氏から直接影響を受けています。特に『宝島』にはレコーディングにも立ち会っており、岩井直溥、真島俊夫と続く日本ポップスの系譜を繋いでいる作編曲家の一人です。

その作編曲作品はエレクトーンやシンセサイザーに精通していた同氏らしく、きらびやかでゴージャスな作風が特徴です。

まとめ

前回の記事では、「吹奏楽のクラシックの名曲を7作品」として海外作品をご紹介させていただきましたが、今回はそれとは対照的に日本のポップス界を支えた国内3作品と3人の作編曲家をご紹介させていただきました。

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改めて記事にすることで、日本の吹奏楽ポップスの系譜を知ることができて非常に興味深い記事となりました。

ポップスのようなアレンジ作品の場合、その「編曲者」でガラッと作風やサウンドが変わります。ポップス作品を探す際はぜひその「編曲者」にも注目して探してみてくださいね。

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